「GOALを決めない」の意味
もちろん、サッカーの話をするわけではありません。
ここでは、管理組合様が管理会社を選定する際の基準として、どんな管理業務を望み何を求めているかという観点から、管理会社の業務のあるべき姿を模索していきたいと思います。
まず、最初に断っておきたいのが、“マンション管理はこうあるべき”という結論めいたものは存在しません。
これは、管理会社にも管理組合にも、物件の個性、居住者の個性、管理業務の内容・価格、業務・運営方針それぞれに違いがあり、それぞれの個性に応じて居住環境や資産価値を向上させる方法もまた異なることからも明らかです。
これを前提に、弊社が考える重要な二つの視点として、タイトルの“GOALを決めない”という考え方の中身を御紹介していきたいと思います。
1つ目の視点は、“管理会社は、本来管理の方向性などを主体的に決定できる立場にない”という点です。
マンション管理は、管理組合ひいては区分所有者をはじめとする居住者のために存在するものです。個々の構成員が具体的に何を望み、将来的には居住マンションの運営をどうしたいのかについて、管理会社は明確な答えをもってはいません。
管理会社は、ただ契約内容に基づいて日々の管理業務を粛々とこなし、ときに管理組合の手助けやアドバイスは行うものの、お手伝いという業務の範疇ではマンションの行く末を決定づけるような行動は、そもそも不可能なのです。
2つ目の視点は、仮にマンション管理という競技が存在すると仮定したら、その中で“管理会社はそのフィールド内には絶対に入れない”という点です。
つまり、マンション運営では管理組合の構成員が個々のプレイヤーなのであって、管理会社はそのプレーを手助けする裏方と位置付けるべき立場なのです。運営のプレイヤーにはならない以上、GOALを決めることがないのは当然です。
このような二つの考え方が浸透すれば、いつか“管理は管理会社がやってくれているから”という依存的な意識の根本が見直されるきっかけになるかもしれません。