管理会社変更を御検討の方へ
これまで、「リプレイス」という言葉をお聞きになったことはございませんか。
現マンション管理業者にとっては極めて耳障りの悪い言葉かもしれませんが、本タイトルの通り管理会社を変更することを一般に示す用語です。
現在の管理状態を見直し新しい管理方法を求める、ということ自体は決して悪い試みではありません。
従来のマンション管理のクオリティが低く、それにもかかわらずコストが高いなどという典型的な状態であれば、むしろリプレイス一択というのが進むべき道なのかもしれません。
しかし、私自身はこの変更ありきで管理方法の見直しを行うという会議体の流れには基本的には慎重であるべきと考えています。
なぜなら、このような着眼点で従来の管理を考察してしまえば、これまでの管理方法の中で悪かった部分ばかりに目が行ってしまい、良好であった部分を評価する機会も奪われかねないからです。
人の行う行為全般に百点満点のスコアを付与することは、通常容易ではありません。
むしろ、良いところもあれば悪いところもある、というのが実情ではないでしょうか。
要は、その良い点・悪い点をきちんと洗い出し整理を行った上で、求めるクオリティを得るために何が改善されるべきなのか、という分析が十分かどうかに尽きるのです。
この改善が不可能あるいは見込みがないという結論に至って初めて管理会社変更を視野に入れて会議を進めても決して遅くはないでしょう。
私が直接体験した場合はもちろん話に聞いたケースも含め、リプレイスを行ったものの、後で「変えない方が良かった…」という事例はザラにあります。
たとえば、①居住者と良好なコミュニケーションを築いていた管理員さんやフロントマンが変わってしまった、②きちんとした管理の履歴が引き継がれずに大混乱に陥った、③残存していたアフターサービスが丸ごと消えてしまい管理組合に多大な負担が生じた等々、リプレイスにも問題点が生じ得ることも決して見逃せません。
逆に、きちんとした比較検討や問題点の洗い直しのプロセスを踏まえた上で、そのマンション全体が求める管理に前進しながら、なおかつコストも削減できる等といった成果が見込まれるのであれば、リプレイスはそのマンションの管理全体にとっての一つの転換点になることは間違いないでしょう。